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水掛けの極意は鉢土全体に均一に水をしみ込ませることです。
掛け方により根張りを良くする「根つくり水掛法」もあれば逆に根ぐされの原因をつくる水掛けもあります。
よく「水をひかえる」と聞きますが、これは与える水を単純に少なくするという意味ではありません。
重要なことは植物が生命を維持し生長する為には水は必要不可欠であることです。
根は水や栄養分(肥料分)を求めて伸びるわけですから、ただ水の量を減らすことで根つくりができるわけではありません。
また肥料は水に溶け根から吸われている点を考えても矛盾があります。
さらに水掛けは植物に水を与えるだけではなく重要な役目があります。
鉢土内の古い空気や老廃物を鉢外に流し出し、新しい空気と入れ替える働きです。
根は新しい空気すなわち酸素がなければ生命や活動は維持できないからです。
よって水の掛け方は「乾くのを待って鉢底から流れ出るまでタップリと掛ける」これが基本となります。
さらに培養土の性格や植える時の培養土の詰め方により、通気性、排水性や水持ちは大きく変わってきます。
培養土の粒が大きい粗い土はおおむね通気性は良く保水力は小さくなります。また粒の細かな土はこの反対になります。
ところが有益微生物の働き(生物的条件)が加わると通気性と保水力の相反する条件は団粒構造が形成される為両立します。
こうなると植え方や水掛けの問題が重要になります。
植え方は棒切れで突き込むか強く詰め込んで植えるのが平均的植え方です。
この植え方は土と土の粒子間のスキ間を小さくすることで毛細管作用が働き、水が鉢土内を自由に移動できるようになります。
こうすることで水は多い部分から少ない部分に移動し鉢土間の水分を常に均一に保とうとする力が働きます。
通常、鉢土内の水の移動は(水掛け後余分な水が落ちた後)鉢底から表土に向かって移動します。
土中に水が停滞することがなく、酸欠となる部分が起きない為根ぐされが起きにくい植え方です。
また、鉢土のすみずみまで根が張ることは当然ですが特に根の張りにくい鉢底部分も、表土より常に鉢底部分がやや水分が多めの為、根が水を求め鉢底に向かって伸び十分な根張りとなります。
定植時及び定植直後の水掛けについては鉢上げした根鉢の部分だけわずかな量しか掛けないという話もよく聞きます。
しかし定植時の水掛けは鉢土全体にタップリと掛けることが大切です。
土は撥水性がある為、この段階で取り除いておかないと、均一に水がしみ込まなくなるばかりか“水みち”を作る原因となります。
その後の水掛けは乾くのを待って鉢底穴から流れ出るまでタップリと掛けます。
さらに15日くらいを目安にタップリと二度掛けをして水の撥水性を取り除き均一に水がしみ込むようにします。
鉢の中心部分(根鉢部分)に少量の水掛けをする場合は1〜2回はこの方法で掛け、次の水掛けにはタップリと二度掛けをし、鉢土全体に均一に水がしみ込むようにします。
・水掛けは鉢土のスミズミまで均一に水がしみ込むこと
・鉢土内の古い空気と新しい空気が確実に入れ替えができること
・“水みち”ができないようにすること
などが重要です。
水掛けさえすれば良いものではなく“水掛けの目的”を考え掛けることが優秀花への道です。
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