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〒300-4204 茨城県つくば市作谷1711-12
良い花を咲かせる為には、土つくりから始まり、サシ芽から開花期にいたる一連の作業の積み重ねが必要であり、そこには名人芸や創意と工夫が詰め込まれています。
何かをすれば突然「良い花が咲く」ことは有り得ません。
当社も同様の考えにもとづいて資材を作っています。
土つくりの資材から開花期の肥料まで、一貫した理論に基づき、使用目的や生長過程に最適化した資材の最良の結果が得られるように製造しています。
定植が終わり8月に入ると「葉が大きくならない」「幹が太らない」などなど……「御社の肥料は良いと聞いたのでためしに使ってみたい」という話がよくあります。
大半の場合は培養土つくりの失敗や肥料の与え過ぎや水掛けの失敗が原因の根ぐされです。
根ぐされは一度発生するとどんなに優れた資材を使用しても挽回の可能性が低いものです。
しかも使用する資材は一種類か良くて二種類です。
この結果をもって「この資材は効果がない」と判断を下される場合が多く、お客様にとっても当社にとっても不幸な結果に終わってしまう場合が多く見られます。
また問題が発生する以前に使用する場合でも、この様な使い方では資材の持つ本来の性能が得られる事は少なく、極力避けなければならないと考えます。
毎年、安定した菊つくりをされている方は肥料から、失敗の多い方は土つくりから始められることが成功率の高いおためし法です。
「土と肥料」は切り離して考えるものではなく、土が基本となりその上に肥料を組み合せ使用することが自然であり優秀花への近道です。
その上に立ち土つくりから始めて下さい。
培養土購入派の方は「菊養土」をおためし下さい。
自作派の方は「土の素」を使い赤玉土の改良から初めて下さい。
土の素を使用した赤玉土の改良はリン酸が効かない、有機物が含まれないヤせた土、酸性土など、もともと植物の生育には適さない土の性格を改善し、健全な生育をする土に変えることができます。
さらに培養土中の有益微生物の増殖や働きを活発にし、通気性や排水性、保水力などの物理性を改善し、根の働きを活発にし肥料の効きめを良くします。
また配合されたリン酸はチッ素分の消化を早め「葉の巻き込み、タレ下がり」などを未然に防ぎます。
こうしてチッ素分の少なくリン酸が充分に効いた、花つくりに最適な土ができます。
理論的に矛盾のない培養土に肥料を組合せ使用することで、肥料が持つ特徴を活かした栽培ができるようになります。
肥料には「チッ素が少なくリン酸の多いもの」「チッ素とリン酸が同じように含まれたもの」などが乾燥肥料にも液体肥料にもあります。
前者は主に育苗期と花芽分化後に使用します。後者は主に生長期に使用します。
さらに「チッ素ゼロ、リン酸とカリの多い」肥料調整剤があります。これは生長期に「葉ッパの色が濃く、フチが波打ってきた」などチッ素が多過ぎた時、「秋の肥料調整」に使用します。
その他活力剤は土中の微生物の働きを高め土を元気にしたり、光合成を高め生育をよくしたり、体質を強化し病害虫の被害を受けにくくするなど非常に重要な役割があります。
液肥類は活力剤を中心に、他の液肥を目的により組合せ使用することが成功率が高いと考えています。
失敗がなく安定した菊つくりができるまでの間は、他社の肥料とあれこれ組合せ使用してもよい結果は得られないと思われます。
現在売られている商品で菊つくりに耐えられる商品はほとんど見当たりません。
よって当社カタログの中から目的に合った肥料を組合せ使用することをお願いいたします。
今年は8月後半の曇り日や雨など日照不足が続き作りにくい年であったと思います。
根いたみ、根ぐされなどが原因の生育不良や日照不足による肥料の消化不良による肥料残りなど多くの問題が発生いたしました。
しかし菊つくり愛好家の方のすべてではありません。その反対に菊つくり始めて以来の最高の出来映えと言う方も多数いることを見逃すわけにはいきません。
なぜ最善と最悪の結果が生まれるのか、どこがちがってこうなるのか考える必要があります。
この差は菊つくりの技術や経験の差ではなく技術以前の基本が守られてないことにあると思われます。
その為に菊つくりの方向性を見失い、失敗をくり返すことになっていると感じられます。
代表的な例を上げると
I. 腐葉土の米ヌカの入れ過ぎ
積み込んで(踏み込んで)500リットルの場合
米ヌカ 10〜15リットル
積み込んで(踏み込んで)1000リットルの場合
米ヌカ 15〜25リットル
上限の15リットル、25リットルはこれ以上は入れない方が良い上限の目安です。少なめの量で発酵することが最善です。
落葉のみでも水分の調整さえうまくいけば充分に発酵します。
米ヌカは落葉が安定した発酵が始まるまでのスターターと考えるのが無難です。
よって油カス等チッ素分の含まれる材料は入れないことが基本です。添加しなければならないのはリン酸やカリなどです。
同じリン酸でも水に溶け流れ落ちる水溶性のリン酸(過リン酸石炭など)は不適当です。
水で流れない緩やかに長く効く可溶性やク溶性のリン酸(焼成骨分やバットグアノなど有機リン酸)が最適です。
積み込みには落葉にタップリと水分を与え一日くらい放置し余分な水を落とした後、詰め込むことも腐敗を防ぎ良質な腐葉土つくりには欠かせません。
折り返しは一ヶ月くらいを目安に2〜3回行い、水分が不足している場合を除き水は掛けないことが良質な腐葉土つくりのポイントです。
発酵菌類は米ヌカに混ぜ合わせ使用します。
この作り方をすれば腐葉土つくりの基本である好気性微生物による好気発酵ができ、リン酸の補給も同時にできる為、菊つくりやバラを含む草花栽培などに最適な腐葉土ができ ます。
II. 乾燥肥料の鉢底多量施肥
定植時に鉢底に乾燥肥料を2合〜3合入れて植え付ける話をよく聞きます。
乾燥肥料をこの様な使い方をしている方の大半は失敗しています。
定植に使用した培養土は役に立たず、5号鉢で作った根でかろうじて生きている状態になってしまう場合が多い。
肥料濃度が高く根が5号鉢の根鉢部分から外に伸びていけない状態になっている為です。
名人や先生と呼ばれる極一部の方がこの方法で栽培をしています。
しかし近年の夏の暑さには流石に根づくりができないようで枯らしてしまう場合が多く、鉢底への施肥は止めているか量を減らしていると聞いています。
この作り方は菊花大会で最高賞を受賞する為に特化した栽培方法であり数百鉢作って、わずか数本の気に入った花が出れば良いと言う勝負師の菊つくりです。
しかし、基本的な菊つくりにさらに高い技術を加え正攻法で最優秀賞を受賞されている名人がはるかに多いと思われます。
“肥料は多く与えれば、与えるほど良く育つ”この考え方はあてはまりません。
―― 鉢底への多量施肥 ぜひ止めて下さい ――。
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